CX-3乗りから見たDJデミオディーゼル

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CX-3オーナーがDJデミオディーゼルを試乗して感じた印象、CX-3との比較

DJデミオXD-Touring

試乗した車種
DJデミオXD-Touring AWD (LDA-DJ5AS)
2016年1月発売モデル

我が家のCX-3が2WDなので同じ駆動方式で乗り比べ出来ればベストだったのですが、担当営業氏が気を利かせてくれて、より上級なモデルでの比較となりました(笑)

以下、下道と高速合わせて100km程を試乗した率直な感想です。
※お約束ですが個人的主観に基づいての感想であり、オーナー様を批判する意図は全く無い事をご認識のうえご覧頂ければと思います。

エクステリア

CX-5に始まりアテンザ、アクセラと、他の新世代モデル同様にデザイン言語”魂動”に基づいてデザインされたエクステリア。

コンセプトカーであるSHINARIに感じられた、力を解放した瞬間の瞬発力を思わせるデザインとは異なり、デミオのコンセプトカーと言われるHAZUMI同様、同じ”鼓動”に基づいたデザインでも捕らえ方を変え、今にも飛び出しそうな躍動感を感じさせて、他のコンパクトカーとは一線を画す大人で洗練されたデザインです。

先代デミオの子犬顔が大好きだった妻は、DJデミオの男前なルックスは琴線には触れ無かった様で購入には至りませんでしたが、個人的にはBセグでクルマ選びするのであれば、デザイン一つを取っても充分に買う動機付けに成り得る完成度だと感じています。

DJデミオXD-Touring

これだけ秀逸なデザインなので、余計に残念に感じるのですが・・・
グリルにど~~ん!と居座るナンバープレートが折角の素敵感を邪魔していて本当に勿体無いですよね。

きっとデザイナー陣は国交省に文句の一言でも言いたいに違いありません(笑)
国交省もプレートの寸法は仕方ないにしても、フォントや表記方法だけもお洒落に感じる様に見直してくれればと思います。

インテリア

基本構成をCX-3と共用するため、パッと見的には両方を乗り比べた人にしか違いが分かりません。
良く見比べると、センターコンソールのニーパッドやドアの内張りなど、所々のマテリアルが異なっており、差別化が図られている事に気付く程度です。

また、ドアノブやサイドブレーキなど、操作時の質感に関しても、使用パーツの違いか?差がある事に気付きましたが、マニア向けの間違い探しレベルの差です(笑)

そう言った差がある両車ですが、基本構成がワンクラス上のCX-3で使う事を想定して作られていますので、当然の如くデミオの内装の質感は車格や価格と比べ、コストパフォーマンスに優れていると感じます。

デミオに対してその様に感じてしまうため、内装に関してマテリアルや操作時の質感の違いに価値を見出せない方にとっては、視覚や機能(例えばパワーシート等)で判りやすい差別化が図られていない分、CX-3は割高に感じてしまうのでは?と感じました。

運転支援装置

デミオとCX-3をXD-Touring同士(オプション装着含む)で比べると、AFS、SBS、MRCCの有無が運転支援装置の違いとして挙げられます。
AFSは真っ暗闇に行かない限り余り恩恵が感じられないので、過疎地で暮らす方以外、無くても困らない方が多いかと思われますが、SBSやMRCCについては、装着可能であれば是非とも付けておきたい装備。

SBSは高速域での事故を100%防ぐ事が可能な装備では無いものの、事故発生時に被害を可能な限り軽減してくれるので、装着する事によるデメリット(出費)よりメリットの方が大きいです。

また、MRCCについてはデミオのクルーズコントロールと異なり、HUD上で車速と車間距離を視覚的に確認しながら設定可能で、かつ制御自体もかなりの完成度で、スムーズに設定した車間距離と速度を保ってオートクルーズしますので、この装備の有無で長距離クルージング性能が段違いになると言っても過言ではありません。

両方ともデミオではXD-Touring LPackageでもオプション設定が無いため、これらの装備が必須条件となる方は、マツダ車の中では必然的にCX-3かアクセラ以上の車種を選択する必要があります。

エンジン性能

エンジン性能についてまず初めに感じたのが、アイドリングと低負荷時のノック音が静かな事。
私のCX-3と比べると特定の領域に限ってですが、数デシベル程度はエンジン音が静かになっている印象を受けました。

SKY-Dは他社のディーゼル車と乗り比べた人の殆どが驚く程、元々静かなエンジンですが、ナチュラルサウンドスムーザーの効果が加わる事で、単純な騒音レベルで言うと、下手なガソリン車よりも静かなのでは?と感じるレベルまで静かになっていて本当に驚きました。
比較する相手がアレですが、少なくとも私のロードスターよりは静かだと思います。

ただ、個人的にはエンジン音はクルマの個性の一つであり、聞かせるエンジン音も必要だと感じる人間なので、闇雲に静かにする事に対しては賛同出来ないと部分もありますが。。。
日本では世間一般的に、ディーゼルエンジンの音=不快な音という固定概念が根付いてしまっているので、マツダとしてもネガな部分はなるべく感じさせたく無いんでしょうね。

加速感については試乗車がAWDモデルと、2WDな私のCX-3と車重が40kgしか変わらない(1,220kg)事から、ほぼ加速感に違いが無いのではと予想していましたが、最大トルクの差(2kg)が予想以上にある様で、実用域の加速感は明確にCX-3の方があると感じる意外な結果に。

ただ、動力性能を比較するのであれば同じ駆動方式で比較すべきですし、2WDだと90kg軽い(1,130kg)ため、また違った印象を受けるかと思いますので、機会があれば試乗してみたいですね。

06

ドライブフィール

AWDかつ比較的ホイールベースが短い事で、FFよりクイックに曲がるハンドリングを想像していたのですが、車速の乗り具合を含めAWDである事を余り意識しない、かつ終始弱アンダー気味の大人なハンドリング。

スポーツ色を強く感じるコンパクトカーを求める方にとっては響かないかも知れませんが、外観から受ける大人で洗練されたイメージとは一致するので、開発コンセプトやターゲット層は承知しませんが、敢えて狙ったセッティングなのかも知れません。

街中で交差点を曲がる時、高速道路でコーナーを曲がる時、一般道や高速での直進安定性と、全ての場面で同じハンドリングのイメージで、曲がり過ぎる訳でも無く、曲がらない訳でも無く、概ね曲がり始めるタイミングや曲がる量が自分の感覚と一致安心して、気持ち良くドライブ出来ました。

ガンガンスポーツドライビングを楽しむ向きには適していないかと思いますが、普段は街中を流れに沿って走り、時々郊外のワインディングや高速でドライブすると言った使い方には適しているセッティングだと感じました。

乗り心地

幹線道路、市道、都市高速と、様々な速度域と路面状況で試乗しましたが、どのシーンでも不快な突き上げや硬さを感じる事も無く、良好な乗り心地。

路面からの細かな入力ではCX-3と明確な差を感じませんでしたが、割と大きめの入力があった際のボディの震えや突き上げの感じ方に、明確な差を感じました。
この点は専用補強で剛性を高めていたり、アクセラ用をベースに開発した専用サスとしている分の差が出ていますね。

燃費

ディーゼルなAWDモデルのカタログ燃費は23km/Lですが、1桁国道を含めた一般道での燃費は約14km/L、高速での燃費は約20km/Lでした。

普段と乗り方を変えた訳では無いのですが、CX-3と比べて2~3km悪いという意外な結果でした。
巡航速度次第でもう少し燃費が伸びるのかも知れませんが、燃料タンク容量の差を踏まえると、長距離ドライブを楽しむ分にはCX-3の方が向いています。

因みに試乗車の積算平均燃費は、借用時12.2km/L。。。
みんなどれだけ雑な運転してるんだよっ!ってツッコミたくなりました!!
頑張って返却時に1km程平均燃費を上げておいたのは言うまでもありません(笑)

その他

後席の居住性やラゲッジルームの積載性、マツコネについての評価項目が挙げられますが、CX-3と同等であったり、そもそも興味が無いので割愛します(笑)

試乗してみての総評とCX-3の立ち位置について

CX-3のサイズ感を超えたデザイン性を付加価値と捉えられない方にとっては、コストパフォーマンスに優れたデミオを選んだ方が満足感が高いです。

デミオはデザイン・操作系や内装も含めた質感に対し、他のコンパクトカーと比べアドバンテージがある上に、クルマ単体で見た時にかなりのバリュー感を感じるクルマでした。

ラインナップの中での立ち位置として、また、これからのマツダのブランド戦略として、その様な商品価値が求められたのでしょうが、今回試乗してみて、世間一般のデミオとCX-3の2台に対する評価について、なるほどね~と納得出来た自分がいました。
確かにこれだけデミオの出来が良ければ、(実際には色々とコストを掛けて価格分の差を作り出しているのですが・・・)+50万近く高額なCX-3に対して直感的に「高い!」と感じるのも致し方無いですね。

そう言った面で見ると、CX-3はデミオとは異なり、国内ではディーゼル専用車種として敢えて価格帯を上げて売り出している辺り、デザインやコンセプトを含めた”ブランド感”で売ろうとしているクルマなんだと、改めて感じました。